今回のお題目
トメウおじいのLet’s徘徊 in Sineu また来ちゃったよー

毎度おなじみ、流浪の観光ブログ「トメウおじいのLet’s徘徊」でございます。
第5回目の今回は、「Fira de Sant Tomàs i Mostra de Matances」というお祭りでシネウを回ってみました。
あれ?またシネウかよ。とお思いですか?あら嬉しい。覚えていてくださったんですね、シネウの市場。ふふふ。1ナイスマヨルカポイントを進呈します。
このお祭り、普通に訳しちゃうと「聖トマスと屠殺実演祭り」なんですけども、なんか観光的にアレなんで、お豚様感謝祭にしておきます。(超意訳やな)
毎年12月の第2日曜に開催される祭りなんですけど、伝統的な豚の屠殺と豚の加工品の作成方法などが紹介されます。
この期間中は、シネウのレストランでは「matances(豚の屠殺)」に関連したマヨルカ料理が提供されます。
おじいが到着したときには、屠殺実演は終わっていたんですけど(ダメじゃん)、とりあえずマヨルカの冬の風物詩マタンサスを見ていきましょう!
それでは、行ってみましょう、レッツ徘徊!
まずは今回の主役から

今回の主役、豚さんです。
マヨルカ豚は、黒くてあごのところに、何かがぶら下がっているのが特徴です。
ヤギのアゴにぶら下がっているものは、肉髯(にくぜん)って言うらしいのですが、豚のもそうなんですか?(って誰に聞いてんの)
これ、展示だけじゃなくて、売られているんですよ。

豚、嫌だと思ったらテコでも動かない性質らしいので、これだけ運ぶのかなり重労働だったでしょうね。
マヨルカ伝統のMatances(マタンサス)って何?
ですよね。そもそもMatances(マタンサス)って何なのか?ですよね。
マヨルカ語でMatancesは、スペイン語でMatanza del cerdo(豚の屠殺)と言います。
ヨーロッパでは古代から豚の屠殺は広く普及していました。
1年に1回、通常は冬の最も寒い月に合わせて行います。伝統的に、新月あたりの日に行います。肉の状態がいい、肉が悪くなりにくいのが理由だそうです。
農作業が終わり、収穫物のない冬の間の食料の確保や、お祝いなどの側面もあったようですね。
冬にはクリスマス、新年、1月17日のサンタントニ(聖アントニオ)など、大イベントがあります。
サンタントニでは、マタンサスで作られた加工品ソブラサダやブティファロが、ゴウゴウと燃える焚き火で焼かれますよ。
マヨルカの田舎の村々では、今でもマタンサスは冬の風物詩です。
概ね、男性が豚の洗浄、解体を行い、女性が豚の腸などを洗い、補修して加工品を作る感じです。
血も加工品に混ぜて使われますし、マタンサスで取れたラードもマヨルカ料理には欠かせない品です。
マヨルカ特産品のソブラサダも、マタンサスのときに作られます。
豚の血も重要な食材ですので、以前は豚を失血死させる方法だったのですが、現在では法律で禁止されまして、豚の苦痛の軽減が図られているそうです。
田中も親戚のマタンサスに時々お邪魔するのですが、家族総出で早朝から夜まで行われる重労働です。
日々、命をいただいて生かされていることを、ずしーんと思い知らされる行事です。

これぞマヨルカ名物!保存食の作り方
スペイン本土同様、マヨルカでも豚肉を使った加工品がよく作られています。
豚肉を使った加工品ソブラサダは、マヨルカの特産品の代表です。

豚さんを解体した後、腸は塩、水、レモンを使って丁寧に洗います。
ソブラサダのような保存食を作る材料と道具です。
お祭りにお肉をいただくだけでなく、食べ物の少なくなる冬場を乗り切るため、保存食を作ります。
こちら、腸詰する前のソブラサダと、その材料です。
パプリカ、唐辛子、黒胡椒、塩がメインの材料です。ひき肉に、これらの材料を混ぜ、腸に詰めます。
あとは、なるべく涼しい所に吊るしておくだけです。

こちらは、ひき肉にするための道具、腸に詰めた後縛る糸などです。
ソブラサダ(sobrassada)の他にも、ヨングニサ(llonganisa)、ブファタ(bufeta)、リサダ(rissada)、クラナ(culana)、ビスバ(bisbe)などの保存食や、血を混ぜたソーセージのブティファロ(botifarron)、脂肪で巻き巻きしたキャマアット(camaiot)など、もうこれでもか!ってくらい作ります。
*あー、この加工品名称のカタカナねー。大体こんな感じの発音ってだけですので、ご了承ください。
一般家庭では、ソブラサダ、ヨングニサがメインで作られます。(中身はおんなじでーす)
小腸に詰められたヨングニサは冬の間に食べてしまう、ソブラサダは次の年の冬までに食べてしまうイメージです。
涼しいところだと、数年は保存できるらしいんですけど。マヨルカは湿度が低いっていうのも保存期間が長い理由かもしれませんね。知らんけど。
加工品が売っています。左奥の吊るされた黒いソーセージがブティファロ(botifarron)ですね。
試食もできますよ。田中は、焼いたほうが好き。
腸に詰めていないソブラサダは、早めに食べることをオススメします。生ですからねー。
こんな感じで、マタンサスで作られた加工品は、マヨルカの各家庭で保存されています。(田舎だけかな)

おや?観光客でいっぱい?長蛇の列
おやおや?長蛇の列。テレビの取材も来てるみたいですね。
その先はこちら。ソブラサダの炒め物とパンが振舞われていました。
サービスしてくれるお姉さんの表情が真剣ですねぇ。
大量に炒めております。ソブラサダはそのままパンに塗って食べるだけでなく、色々な料理に使われます。
杏子の砂糖漬けや蜂蜜など、甘いものと組み合わせることもしばしば。
パンに塗ったあと、トースターで焼くだけでも、かなり違った味になります。脂がじゅわーっと染み出してきて、その脂でパンがカリカリになっちゃいます。
カロリーなんてクソくらえ!ですわ。

おじい、年中脂肪ついてるやん。
マヨルカ伝統マタンサス関連料理
Frit de matances(マタンサスの炒めもの)
材料はいたってシンプル、豚バラ・豚赤身・肝臓・ジャガイモ・赤パプリカ・にんにく・ローリエ・塩・胡椒です。
新鮮なお肉ですから、シンプルが一番ですね。と言いつつ、これ、かなり脂っこいですよー。

なんか力説してますけど。田中、結構油っこいのいける口なんですけど、ちょっときついです。
少しでも冷えたらアウト!です。
Sopes de matances(マタンサススープ)
材料は、キャベツ・カリフラワー・たまねぎ・甘くて濃いトマト(Ceba tomàtiga de ramellet)・ブレデス(かつお菜みたいな野菜)・パセリ・きのこ・豚赤身・豚バラ・塩・胡椒・パプリカです。
左側はパンを薄くスライスして自然乾燥させたものです。これを入れます。
まぁ、スープって言っても汁、ほとんどないですけどね。パンが吸ってしまうんですね。
このほかにも、アスキャルドゥムス(煮込み)やアロス・ブルット(おじや)などが作られます。
他にもマヨルカ名物っぽくない露店
この日は日曜日。他の村でも市が開かれているので、露店は少なめでした。観光客もまばら。
超おばあの店。
ブニョルスやソブラサダを売っていました。お客はおじい中心。「ママの味やで~。」って言っていました。
こちら、豚の皮を揚げたものです。カリカリでもないんですよね。お豚様が大事なのはわかります。わかりますよ。でも、もうちょっとカリカリにして欲しい田中です。
出た!田中の天敵羊チーズ。
チーズの上に羊、羊、羊、オレンジ、草。これって全部羊チーズですか? さようなら。

りんごに串がぶっ刺してあるよー。と思ったら、りんご飴になる前の串刺しりんご。
焼き栗旨いです。残念ながら、マヨルカではあまり見かけないんですけど。
もうすぐクリスマス!ポインセチアが沢山売られていますね。
田中、もらっても冬を越せずに枯れてしまう・・・なんか、ごめんね。
こちらマヨルカ名物siurel(シウレル)素焼きの人形で、笛になっている優れものです。ふふふ。笛機能、いります?
豚の貯金箱って、世界共通なんですか?(だから、誰に聞いてる?)
おや、こちらは自動で回るらしいですね。放り出されそう感が、じわじわしますね。
うふっ。何?
子供が子豚を抱いてますね。これ、マヨルカ豚です。
他の家畜も売ってましたよ。温かそうな鳥ですね。
七面鳥って、結構でかい。七面鳥も、スーパーでよく見かける食材です。食材って言っちゃった。
マヨルカ・シネウの教会
シネウの教会は現在修復中です。光が良く入るので、明るいですね。
マリアさんとキリストさん。
スペイン語でイエス・キリストのイエスの部分をヘススって言います。
くしゃみをした後に「ヘスス」って言う習慣がありますよ。
「ヘスス」と言ったら「グラシス(ありがとう)」と返されます。
さっきから、教会に全く関係ないコメントでお茶を濁しております。クシャん。

マヨルカ伝統ダンス バイ・ダ・ポット
音楽が聞こえてきたと思ったら、広場でダンスが始まりました。
マヨルカの伝統ダンスball de bot(バイ・ダ・ボット)です。
主に農地や山岳地帯で、オリーブ・ブドウ・小麦などの収穫を終え、食べて飲んだ後行われていたダンスです。(おぇぇ。ってならないように!)
マヨルカ民族衣装がかわいいですね。現在ではショーの要素が強いです。

今回のまとめ
いかがでしたでしょうか?今回のレッツ徘徊。
マヨルカの伝統行事、マタンサスを紹介する「お豚様感謝祭」でした。
マヨルカの豚は、美味しいです。甘みがありますよ。田中、焼く時は、少しレアでいただきます。
え?豚なのにレア大丈夫なん?ですよね。田中、生きてます。ソブラサダは生です。
秋の収穫を終え、冬を越すための準備をマタンサスで行います。マタンサスは観光ではなかなか見られない伝統行事ですので、機会があればぜひともご参加ください。
マヨルカでは冬の間のお祭りに、家族で感謝して保存食をいただきます。現在でも引き継がれる伝統、マタンサスでした!!
シネウへの行き方は、前回のシネウの市場をご覧ください。
