こちらスペインはマヨルカ島。田舎では未だにですね、昔の日本のような醤油を貸し借りする仲なご近所づきあいが繰り広げられておるわけです。
まぁ、言うてもおじい、おばあ間の流通事情ですけどもね。
でですよ。田中のベストオブ隣人ザ・ワールドなマリアもですね、果物収穫時には大量の農産品を奉納してくれるわけでして・・・
今回もですね、大量なメンブリージョ(マルメロ)を強制的に押し付け、あ、いや有難く頂戴しましたので、それでマルメロジャムとマルメロゼリーをですね、作らせていただいたという次第です。
作り方を教えてもらいながらですよ、マリアの家で5㎏のメンブリージョ処理。翌日は田中家で2㎏のメンブリージョ処理。
あ、知ってます?マルメロって結構硬いんですよね。久々に手に豆できましたけどね。別にいいんですけどね。
と言うことでございまして、今回はメンブリージョ(マルメロ)大特集でございます。マルメロジャムを作りつつ、面倒くさくなかったらマルメロゼリーを作ろう!という、2度楽しめるレシピとなっております。
いらん事言わんでください。
マルメロジャムとマルメロゼリーの作り方~まぁ同じだけど
では今回は、サクッとマルメロジャムとマルメロゼリーの作り方をですね、ご紹介したいと存じます。
えぇ、疲れ果てたんですよ。メンブリージョに。
あ、先ほどからですよ、マルメロとメンブリージョを分けて使ってるんですけども、メンブリージョとはマルメロのスペイン語。果物そのものを指すんですね。
日本では、マルメロゼリー=メンブリージョってな感じになってるかと思うんですけども、スペインでもゼリー状の物もメンブリージョって呼ぶっちゃー呼ぶんですけども、まぁとりあえず果物ですんで使い分けてみました。
メンブリージョってそもそも何なのか?は後程、いらんうんちくで。
では、材料から。
マルメロジャムとマルメロゼリー(所謂メンブリージョ)の材料
えー。マルメロはペクチンが大量に含まれておりましてね、煮詰めすぎるとジャムが勝手にゼリーになるというシステムでございます。
このレシピでは、水を入れて煮ている間も放置という、できるだけ簡単レシピになっておりますので、ジャムはいらないぜ。マルメロゼリーだけが欲しいんだぜぇの場合は、水を入れずに作ってもらえればよろしいかと存じます。
では、材料をば。
マルメロジャムからマルメロゼリーへの材料(甘さはお好みで)
マルメロ:2㎏
砂糖:1.5㎏(マルメロの75%~同量)
水:200㏄(マルメロの10%)
レモン汁:大さじ2(マルメロ1㎏に対して大さじ1)
レモンの皮(任意)
シナモンスティック(任意)
マルメロは黄色く熟れているものを選んでください。
田中が使用した物はマリアの友人の庭で取れたワイルドなものなので、黒い傷のようなものが大量に見えると思いますが、ここ傷んでます。
傷んでいる部分、種の周りを取り除いた重量が2㎏。
その重量の75%~同量の砂糖を使います。
水はマルメロの重量に対して10%入れていますが、ゼリーのみを作る場合は入れなくてOKです。その場合は、カットしたマルメロに砂糖とレモン汁を加えて、マルメロから水分がじわ~っと出てくるまで15~30分放置しておいてください。
水を入れると、1時間煮ている間放置できるんで便利なんですけどもね。
レモンの皮とシナモンスティックはお好みで。
まずはマルメロジャムを作ろう!
では、まずはマルメロジャムから作って参りましょう。
マルメロって産毛(綿毛)が生えてるんですよね。それをしっかり洗って取っていきます。
ちなみに、マルメロとよく似ているカリンには産毛がないです。
マルメロはかなり硬いので、カットするときは十分注意してください。
種の部分と傷んでいる部分を取り除いて、適当にカットします。すぐに変色してくるんですけど、特に問題なしです。
レモン水で洗ってみたんですけど、変色は止められないんで、しなくても全然問題はないです。
傷んでる部分を綺麗に洗いたかったもので、とりあえずレモン水で洗っております。
大きな鍋(アルミ鍋以外)にカットしたマルメロ、砂糖、レモン汁、水、レモンの皮とシナモンスティックを入れて中火にかけます。
50分煮て、ジャムを作る場合は木べらで混ぜながら潰します。
熱々の状態で、消毒した瓶に詰めます。瓶は広口であまり深くない方がおすすめです。この状態でも、結構しっかり固まってきますんで、ジャムが取り出しやすい形状の瓶にした方がいいですよ。
からのマルメロゼリー(メンブリージョ)を作ろう!
ジャム用を取り出した後は、ブレンダーで細かくしていきます。
ペースト状にしたら、木べらでかき混ぜながら煮詰めます。結構力がいる作業でして、さらに跳ねます。
煮詰め方によって色も濃くなって来るんですけども、疲れるのであまり煮詰めずに終了します。
煮詰める時間を減らすと、乾かす時間が長くなりますんで、どちらでもお好みで選択してください。
煮詰めたものをザルで濾します。面倒くさいんで、特にしなくても大丈夫なんですけども、口当たりが多少滑らかになりますよ。
種を入れて煮詰めた場合は、濾した方がいいですな。
で、型にオーブンシートを敷いて、マルメロペーストを流し込みます。
型にオリーブオイルを少し塗って、流し込んでもOKです。
がっつり煮詰めた場合は、常温のまま24時間放置で固まります。
あまり煮詰めなかった場合は、固まるまでに3~5日ほどかかると思います。上から固まっていくので、早く固めたい場合は1㎝くらいの厚さにしておくといいかもです。
スペインでは、しっかり煮詰めたものはこのまま常温で長期保存することができます。
日本では湿度もありますし、冷蔵庫で保存がよろしいかと。カットして小分けにして、すぐに使わない分は冷凍保存してもOKです。
言うても、そんなに大量に食べられるもんでもないんで、冷凍するか隣近所に配布してください。
作り方をまとめた動画をご覧くださいませ。
スペインで言う所のメンブリージョって?
先ほどもお伝えした通り、スペインではマルメロのことをメンブリージョと言っております。
正式に言うとですね、シドニア(シドニア オブロンガ)という果実が、一般的にメンブリージョって呼ばれているんですね。
と言うことで、メンブリージョとは果物。日本で言う所のマルメロなんですね。ちなみに、マルメロはポルトガル語でございます。
で、このメンブリージョがゼリー状に加工されたものは、Dulce de Membrillo(ドゥルセ・デ・メンブリージョ)やCarne de Membirillo(カルネ・デ・メンブリージョ)と呼ばれております。
が、まぁメンブリージョと言えばゼリー状のアレがイメージされるんで、果物とゼリー状のものどちらもメンブリージョで通用するという、わかりにくい状況であります。
と言うのも・・・
スペインではメンブリージョ(マルメロゼリー)のほぼ一択
メンブリージョは、煮詰めて固めたもの以外、他の使い方があまり見当たらないわけでありまして・・・
貰うと非常に鬱陶しい。あっ。
まぁ、お隣さん(マリア)にも、「できたものをくれ」ってしっかり伝えてるんですけども、まぁ聞いちゃいないですね。
と言うのもですね、生食が非常にやりづらい果物でして、味は苦みと言うか渋み、えぐみがあるんです。食べられないこともないんですけども、美味しくはないです。
メンブリージョの食感は、硬くて綿のような繊維質で、食べられないこともないんですけども、美味しくはないです。超不作で熟れてない洋ナシみたいな感じです。
えぇ。果物好きの家の鶏たちも、見向きをしません。
なので、加熱して砂糖を加えて食べるのが一般的。ゼリーやジャムのほかには、コンポートやはちみつ漬けくらいですかね?
でもこれが、加熱してやると鮮やかな美しい色、クセになる味に変わっちゃうのが不思議です。長期保存ができるのも優れものですな。
スペインでのメンブリージョの食べ方
スペインではメンブリージョ(マルメロゼリー)をそのまま食べるより、チーズと合わせて食べるのが一般的です。
杏ジャムやイチジクジャムとチーズを合わせるのも好きですけど、メンブリージョとチーズはスペインの定番です。
ゼリーにしても、ほんのりと酸味が残ってますんで、チーズとの相性は抜群です。個人的には、ミルクの味がしっかりする塩気のあるチーズと合わせるのが好きですね。
フィロ(春巻きの皮よりも薄い生地)に塗って重ねて焼いたり、リコッタチーズと合わせてフィロに包んで焼いたりも美味しいです。
肉料理のソースの隠し味にも使えますぞ。
メンブリージョはどんなチーズと合うのか?
もう、お好きなチーズでOKです。フレッシュからハードまで色々合わせてもらって大丈夫かと思われます。
えぇ。そうなんですよね。田中、ヤギ、ヒツジが全くもってダメでして、そんな奴がどうこう言う筋合いはないんですけども、スペインでは一般的にというスタンスでお答えします。
まぁ、ド鉄板はケソ・マンチェゴだと思われます。
メンブリージョとケソ・マンチェゴに、オリーブオイルを回しかけて、お好みでクルミをトッピング。
はい。べーべー来ましたね。ケソ・マンチェゴはご存じ羊乳で作られた、ラマンチャのチーズでございます。
え~。低温殺菌乳で作られた場合は最低30日、最大で2年熟成されたスペインを代表するチーズの一つでございます。
あとはケソ・デ・ブルゴス。羊乳から作られた、低脂肪なフレッシュチーズに合わせるのも良く見かけます。
これでも田中、食べられない割にはチャレンジはするんですよね。
ケソ・マンチェゴにも果敢にチャレンジして、予想通り撃沈からの悶絶したわけなんですが、羊の余韻が長くてモロモロしとりましたぞ。
ケソ・デ・ブルゴスは、スーパーで買えるやつだと羊乳少な目タイプばかりなんですけど、それでもアレですよ。買わなきゃよかったという後悔の念しかないですね。
いやいやいや。世の中にはね、私と同じように羊と山羊が食べられない人もいるんですよ。そんな田中のお友達にオススメなのが、マスカルポーネやクリームチーズ!
塩気のあるセミハードタイプのチーズが一番オススメなので、牛乳で作られた優しいお味のものをチョイスしてくださいませ。
スペインチーズでは、ケソ・テティージャがおすすめですな。もちろん、牛乳で作られておりますぞ。ミルキーです。
あとは、ブルーチーズも合います。スペインチーズだとカブラレス。ロックフォールと同じく羊さんが原料なので、田中のお友達はゴルゴンゾーラをお選びください。
あ、メンブリージョ売ってた。やたら高い。田中の家来たら、まだ売るほどありますけども。いる?
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メンブリージョはカリンでも代用できる?マルメロとカリンの違い
マルメロとカリン。似てるようですが、全く違う果物であります。
マルメロは、バラ科マルメロ属でございまして、マルメロ属はマルメロのみとなっております。
マルメロの栽培は、リンゴよりも古い可能性があってですよ。アダムとイブが食べちゃった禁断の果実ですけども、リンゴでなくて、マルメロ(黄金のリンゴ)じゃね?って説もあるんですね。
古代ギリシャでは、結婚式でも使われておりました。花嫁がマルメロをかじって、結婚式の誓いのキスに香りをつけたという、まぁそれはロマンチックなお話が残っとります。
おじいちゃん、ポリデント。ポリデント。
中央アジア原産のマルメロは、西洋では古来から重宝されておりまして、薬効効果も認められておったわけでございます。
一方カリンは、バラ科のカリン属。こちらは中国が原産で、のど飴の原料として使われているアレでございます。
日本には、かの弘法大使が唐から苗を持ち帰られたと言われております。
マルメロとカリンの主な違い
では、ざっくりとマルメロとカリンの違いをば。
マルメロ | カリン | |
分類 | バラ科マルメロ属 | バラ科カリン属 |
原産地 | 中央アジア | 中国 |
花 | 薄いピンク | 濃いピンク |
葉っぱ | つるん | ギザギザが付いてる |
実 | 産毛(綿毛)がもっさり | つるんつるん |
木に生ってる状態で見ると、わかりやすそうですな。
マルメロの産毛はわりと取れやすくて、大きくなって熟れてくると取れてくるんですな。取れちゃうと見わけが付きにくいかもしれません。
マルメロとカリンの似てるところ
マルメロもカリンも、生ではあまり食べられません。
えぇ。あなたはマルメロも生のデーツ(ナツメヤシ)もボリボリ食べますよね。渋いわ!!
品種によってかもしれませんが、マルメロ食べられないことはないんです。死ぬほど渋いってわけじゃないので、なんとなーく食べられないことはないんですが、美味しくはないです。
田中も、マリアから「ほれ、食ってみろ。」と毎回、何かしらを生食させられるんですけども、一口かじった後のマルメロの切れはしを持ったまま処理に困ったので、ポケットにねじ込みましたけどね。
しかも、マルメロもカリンも硬いです。
あと似てるところと言えば、いい匂い。それと、薬効的なものですかね。
スペインで言われているところのメンブリージョの薬効的な何か
マルメロは低カロリーな果物でして、ビタミンA、C、B1、B2、B3を含んでおります。また、カリウム、リン、鉄、カルシウム、ナトリウムが割合と多いです。
あとは食物繊維とペクチン、タンニンを多く含む食品でございます。
- マルメロに含まれるタンニン、下痢の緩和
- リンゴ酸、尿酸の除去
- ペクチンはコレステロールを抑える
- 種は去痰と喉の炎症を抑える
てな感じの薬効があるとされております。
と言っても、生マルメロの場合でして、種以外は調理してしまうとその薬効も微妙な感じです。
種のところが傷んでいない場合は、種ごと煮込んじゃうといいかもしれませんな。
一方、カリン。中国の古い薬学書「本草綱目」には、カリンには、咳止め、利尿作用、鎮痛作用があると記されておるそうな。
似てますな。
成分的にもビタミンC、タンニン、ペクチン、カリウム、リンゴ酸などが入っております。
カリンでメンブリージョ(ゼリー状のもの)が作れるのか?
ってなことで、本題。
カリンもペクチンを多く含んでおりますんで、作れないことはないと思われます。
マルメロと同じく、石細胞があって果肉が非常に硬いんですけども、加熱すると柔らかくなりますんで大丈夫かと思われます。
はい?作ってないので、語尾を曖昧にしてごまかしてますけども、何か?
信州ではマルメロとカリンがごっちゃになっているらしく、マルメロをカリンとして販売してるらしいんですね。なもんで、マルメロの方が入手しやすいんじゃね?というですね。
どっちでもアレですよ。アレ。