ソパデアホ(sopa de ajo)の基本的構成要素は、ニンニク・パン・オリーブオイル・水・塩の5つ。
この、シンプルでスペインらしい、慎ましやかな農村の生活を彷彿とさせるレシピは、カスティーリャ地方で生まれたとされております。
一見無骨な料理に見えるソパ・デ・アホですが、ニンニクとパンを使用することによって、本来混ざり合わない水と油を乳化させ、まろやかな口当たりに仕上げるというポイントが隠されておるわけです。
エマルジョン(乳化)させることによって、油っぽさをなくし、とろみのある口当たり、味が乗りやすく美味しくするというですね・・・


うるさいわ!人がこう、何と言いますか慣れない用語を駆使してソパ・デ・アホを持ち上げてるところでしょうが!
大体、何でニンニクがアホやねん。

はぁ。

はぁ。

何はともあれ今回は、スペインのニンニクスープ、ソパデアホの作り方をご紹介いたします。
ソパ・デ・アホのレシピ
と言うことで、何やら体にいいらしいニンニクを大量摂取できるソパデアホ。
スペインの冬も、意外と過酷でしてね。そんな中熱々のニンニクスープが重宝されておるわけです。
また、肉食規制があるパスクア(復活祭)期間中も、よく食べられている料理なんですね。
ソパデアホと言いましても、地域によって色々レシピは違うんですけども、カスティーリャ地方で生まれたソパ・カステリャナのレシピをご紹介です。
シンプルだけど癖になる。スペイン料理の神髄ともいえる味わいでございます。
ソパデアホの材料
まずは、超基本の材料から。
超基本 ソパ・デ・アホ 3~4人前
ニンニク:6片
パン(前日の残りの硬くなったやつ):100g
オリーブオイル:50g
パプリカパウダー:小さじ1
水:1.5ℓ
塩
色々入れない!野性味あふれる味に仕上がります。
これ、スペイン料理に馴染みのない人が食べると、う~ん・・・って感じになるかもですけども。
食べ慣れちゃうと、これが一番うまいんじゃないか?って思います。
で、食べやすい味にするには、こちら。

美味しい ソパ・デ・アホ 3~4人前
ニンニク:6片
パン(前日の残りの硬くなったやつ):100g
オリーブオイル:50g
パプリカパウダー:小さじ1
チキンブイヨン:1.5ℓ
生ハム:30g程度(オプション)
卵:人数分

そうね。ブイヨンやら生ハム入れると食べやすいですね。ソパ・デ・アホ初心者さんには、こちらのレシピがおすすめ。
生ハムはオプションでございます。生ハムがない場合は、塩で味付けを調整してください。

アンダルシア地方ではカリフラワーを入れるなど、地域によって色々特色があるレシピですな。
ソパデアホの作り方
では、ソパデアホを作ってまいりましょう。
今回は、土鍋で調理しております。土鍋と普通の鍋だと、ちょっと作り方を変えた方がよろしいかと存じます。
スライスしたニンニクを土鍋で香りが出るまで炒めます。
そこに生ハムを加えて炒めます。
生ハムを加えない場合は、ニンニクは黄金色になるまでしっかり炒めてください。
そこに、硬くなったパンを入れてトーストします。油をしっかり吸わせてください。
柔らかいパンでもいいんですけども、スープの吸収率が違ってきますんで、とろんとした口当たりに仕上げたいなら硬くなったパンで。
パプリカパウダーを入れたら火を止めます。土鍋の場合は火を止めても結構加熱できちゃうんで、火を止めて混ぜてください。
でないと、焦げます。
普通の鍋の場合は、弱火で炒めちゃって大丈夫です。
そこにお湯、もしくはチキンブイヨンを入れて火をつけます。
ソパデアホは、グラグラ煮込まないで、沸騰しないくらいの勢いで煮ると良い感じです。
そのまま15分くらい煮ていきます。かき混ぜなくてOKです。放置。
人数分の卵を割り入れます。卵を入れたら2~3分加熱。黄身がどろんとした感じに仕上げたいです。
バルやなんかで食べると、卵が1個~2個入っておるわけですけども、お安め居酒屋だと溶き卵なんかも入っておりますね。
お好みで、白身だけ入れて、黄身は器に盛ってから乗せるって手もあります。
まぁ、こっちではサルモネラさんが怖いんで、とりあえず加熱しております。
土鍋はいいですな。火からおろしてもグツグツなっております。
このソパ・デ・アホ、スペインでは午前中に食べられることが多いですね。
スペインでは朝食と昼食の間に、メリエンダって食事を取るんですけども、その時に食べられたりなんかします。
マヨルカではメリエンダにソパ・デ・アホってのは少ないかと思いますけども、前日のお酒が残ってる時とかですね、胃のスイッチをオンにするには最適なのでございます。

ソパデアホの作り方を動画でまとめております。
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ソパ・デ・アホの効能 劇作家編
スペインの劇作家リカルド・デ・ラ・ベガは、ソパデアホを詩で謳っております。
ソパデアホ7つの美徳
そのスープは空腹を取り除かせ
喉の渇きをほとんど感じさせず
眠りへといざない
消化を助ける
決して負担をかけず
常に私たちを喜ばせる
そして、色づいた顔をあげる

要するに、うまいっちゅーことですね。

色づいた顔っちゅーのは、スペイン人にとっては健康の兆候であります。
ニンニク最強伝
スペインではニンニクをアホかってくらい使用するわけなんですけども、あ、うまいこと言った。

ちょっくらニンニクの効能やらをご紹介しましょうかね。
ニンニクの主成分
アイリン・アリナーゼ・アリシン・ジアリルジスルフィド・アホエン・アリチアミン・スコルジニン・ゲルマニウム・メチルアリルトリスルフィド
ニンニクの語源、alĭumと学名allium sativumに由来しているだろう、「アリ」ってのが付いた成分多いですわな。
これ、ニンニクベースのマヨネーズみたいなもの、アリオリにも関係しておりまして。
アリオリ(Alioli)バレアレス諸島の言葉では、ニンニク(ali)と油(oli)。
マヨルカのお隣の島メノルカが、マヨネーズの発祥の地なのでございますが、アリオリはニンニクと卵黄、塩、オリーブオイルを乳化させて作られているんですね。

で、何が言いたいんか忘れてしもうたやんか。あ、成分。
ニンニクと言えば古来より、その薬効から民間薬として利用されてきました。
ニンニクのあの独特の匂いは、アイリンという成分でして、本来は無味無臭のアミノ酸なんですけど、切ったりすったり傷つけられるとアリナーゼの働きによって匂いが出てくるわけです。

そしてその働きによってできる物質がアリシン。この硫黄化合物が、何らかの薬効を発揮しておるというわけです。
で、アリシンが加熱されることでできるのがアホエン。

抗酸化作用があるアイリンが、抗菌作用や疲労回復作用のあるアリシンや、抗酸化、抗血栓作用があるアホエンに変化していくっていうのが、ニンニクの成分の特徴でございます。
と言うことで、ニンニクを生で食べるか、加熱して食べるかによって、その効果が変わってくるというわけなんですね。
今回のソパ・デ・アホは、ニンニクを加熱した料理なのでアホエンが体内にふんだんに押し寄せてくるというわけです。ニオイと共に。
寒い冬を乗り切る、スーパーフード、スペインの代表的スープ「ソパ・デ・アホ」。いかがだったでしょうか?
とりあえず、食後誰にも迷惑をかけない状況下で召し上がてみてはいかがでしょうか。
