スペインのクリスマスに食べられるお菓子といえばトゥロン(Turrón)。
トゥロンと言いましても、結構いろんな種類があるのでございます。
そうね。硬いものから柔らかいものまでいろんな種類があって、その全部が甘い。
専門店のものからスーパーで売られているものまで、トゥロンの種類や値段も、まぁ様々。
トゥロンってめっちゃ甘くね?ってお思いの方、それ、もしかすると良質な材料が使われてないからではないかと。
ま、基本甘いんですけどね。
その甘さレベルが、上品なさらっとした甘さから、ベットベトに甘いものまで。
今回は、スペインのクリスマスには必ず登場するトゥロンの、柔らかいバージョン(Turrón de Xixona)の作り方と、トゥロンってそもそもどういうお菓子なのさ?ってのをちょっといじくってみようかと思う次第であります。
今回のお題目
スペインのトゥロンってどういうの?
トゥロンとは?Wikipediaでも見ます?
「スペインでクリスマスシーズンによく食べられるお菓子」として、一般的に知られているのでは?と思います。
基本的には板状で、ナッツ類と蜂蜜がベースになっております。
最近では、チョコレート(板チョコじゃねぇかよ)や、カスタード(水分のないプリンじゃねぇかよ)、マサパン(ノーコメント)、ココナッツ(歯がキシキシする)なんかもあるんですけども、伝統的なものはアーモンドと蜂蜜の素朴なお菓子でございます。
いや、本物はうまいっすよ。
伝統的なものの種類は2つ。硬いのと柔らかいの。
硬いもの:Turrón de Alicante(トゥロン・デ・アリカンテ)
柔らかいもの:Turrón de Xixona(Jijonaとも。トゥロン・デ・チチョナ(ヒホナとも。))
アリカンテっていうのは、スペインのバレンシア地方の州でして、チチョナっていうのはその中にある自治体ですな。
ってなことで、ここら辺が伝統的トゥロンの発祥の地なのでございますね。
勝手に、いろんなボタン押さないでください。
トゥロンってどこから来たの?
トゥロンのルーツは、アラビア半島ではないかって言うのが通説でございます。
トゥロンの歴史は、アラブ人医師がアーモンドと蜂蜜を練り合わせたお菓子のような健康食(turun)を、地中海沿岸に持ち込んだところから始まります。
15世紀には、現代にあるようなトゥロンの原型がすでに食べられておりました。主に王侯貴族の間でもてはやされておったそうですと。
カタルーニャ地方ではヘーゼルナッツ、アンダルシア地方では松の実なんかが使われ、バレンシア地方ではアーモンドが主流だったらしいですよ。
今の硬いタイプが登場するのが16世紀。19世紀に入ってからは食べやすいようにと柔らかいタイプが作られるようになったんですね。
そうね。あの硬いの、歯持っていかれるよね。顎やられるよね。
トゥロンとヌガーって何が違うの?
ヌガーってのは、おフランス語。
こちらもアラブの穀物・油脂・砂糖を使ったお菓子halvaってのに由来するらしいんですけど、それが中国に行って、それからおフランスで今のような形になったらしいですけどね。
ヌガーは基本的に砂糖や水飴を煮詰めたものに、ナッツ類やらを入れて固めたものでさーね。
柔らかいものは、トゥロンと同じように卵白を加えたりする。
確実に違うところは、ナッツの含有量、蜂蜜の使用ですかね。
トゥロンの場合は、ナッツの割合が70%くらい、ヌガーだと30%くらい?なんだとかね。
新しいボタン設置するの、やめてもらっていいですか?
なんでスペインではクリスマスにトゥロンが食べられるの?
諸説あり。
スペインでは、クリスマスシーズンに食べられるお菓子として定番のトゥロン。
10月半ばくらいから、スーパーなどでも山積みされて特設コーナーが設けられるんですね。
一般的に、トゥロンはスペインではクリスマスにしか食べないと言っても過言ではないんです。
チョコレートタイプのトゥロンは、まぁ板チョコとして年中無休で食べられてますけどね。
それ、言っていいの?
その昔、トゥロンは1年中作られていたお菓子ではなかったんですね。
アーモンドの収穫を終える秋、ほかのお菓子を作っている職人さんや一般家庭でシーズンもののお菓子として作られておりました。
トゥロンで使われているアーモンド、蜂蜜、卵は高級素材でありまして、そんなお高い素材で作られているお菓子は貴重品。
ありがたい貴重なものなので、農作業などが終わっての大事なイベントであるクリスマスに食べる貴重なお菓子として、スペイン全土に広まって行ったんですね。
で、トゥロンが作られるのはバレンシア地方。
作り終えて、いざマドリードへ出荷。現在のように流通がスムーズでなかった時代。
トゥロンがマドリードへ到着するのは、冬でございますね。ってなことで、クリスマスシーズンに食べられるお菓子として定番になったのでは?
お安いトゥロンからお値段高めのものまであるんだけど?
トゥロンは、スペインのお菓子でありがちな冒険しない感。伝統的なものがおいしい感。その土地の素材大事でしょ素朴感。が色濃い超スペインお菓子なんですね。
いや、褒めてるんですけども。
最近は、いろんなフレーバーも出て、結構冒険してますね。知らんけど。
ということで、スーパーで売っているお値段安めトゥロンが甘すぎる理由としては、素材がよろしくない。
- アーモンドがカ〇フォルニア産だ。
- 蜂蜜の代わりに砂糖が大量に入っている。
- 保存料などががっつり入っている。
などの理由が挙げられますな。
田中、初めてトゥロンを食べたのが、クリスマスシーズンにスーパーに山積みされているお値段お手頃なやつでして。
あー、脳が溶ける!頭痛てぇ!と、その甘さに悶絶した記憶がございます。
もし、初トゥロンが安価なもので、今でもその記憶が焼き付いて離れない場合は、お値段お高めなもので再チャレンジしてみてください。
高い=うまい。とは言いませんが、それなりの材料を使っておりますぞ。
トゥロンは、専門店では1年中売られております。お土産店などで売られているものも、おススメですね。
え?そんなスペイン行く用事ない?
だったら作ればいいでしょう!ってことで、トゥロンの柔らかいやつ。ヒホナのレシピでございます。
スペインのクリスマスの定番トゥロンの作り方(マヨルカ流)
今回は、トゥロンの柔らかいやつ。Turrón de Xixona、こちらをマヨルカバージョンで作っていきたいと思います。
え?何でわざわざマヨルカかって?
うん。素材がマヨルカのもん使ってるってだけなんですけどもね。
マヨルカは、知られざる超良質なアーモンドの産地でして、蜂蜜もなんだか美味しいらしいんですわ。
一般的にトゥロンで使われているのがマルコナ種のアーモンド。
アーモンドの女王とか言われるほど、美しくて薫り高いアーモンドなんですよね。お値段も結構厳しい価格です。
で、マヨルカはと言いますと、マルコナ種を含め100種類以上の品種のアーモンドが栽培されております。
マヨルカアーモンドというのは、この色んな品種を詰め込んだタイプでして、形が不ぞろいでバラバラ。味もいろいろ。
そして、驚くべきなのがその栄養価。
まぁ、こんな具合でして、気になっちゃった場合はこちらでじっくりとご覧くださいまし。
トゥロン・デ・ヒホナのレシピ
はい、では本題。トゥロンのレシピをご紹介します。
まずは材料から。
トゥロンの材料
アーモンド皮なし生(マヨルカ産使用) 250g
粉砂糖 130g
蜂蜜 80g
卵白 1個分
レモンの皮 すりおろし大匙1(お好みで)
シナモン 適量(お好みで)
という、結構シンプルな材料で作ってまいります。
生の皮なしアーモンドって、なかなか手に入りづらいですかね?
その場合は、生の皮つきアーモンドを水に浸すと皮がするっと剥けちゃいますんで、お試しください。
ローストを使う場合は、塩なしで。
シンプルな料理ほど、素材にはこだわりたいんですけども、トゥロンってどんなの?食べてみたい!って場合は、もうそこらへんで手に入る材料でやっちゃってOKですよ。
アーモンドと蜂蜜の産地が同じだと、嬉しいですねぇ。
本場アリカンテでは、百花蜜、ローズマリー、サフランなどの蜂蜜が使われているそうですよ。
レモンとシナモンは味のアクセントです。
なくてももちろん大丈夫ですが、少しだけ加えることで風味が豊かになりますよ。
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トゥロン・デ・ヒホナの作り方
はい。では、ようやくトゥロンの作り方でございます。
はい、何でしょうか?
はい?1月の中旬でございますが。
うん。そうね。スーパーでトゥロンの安売りとかが始まってる時期ね。
それな。
はい。この不ぞろいのかわいらしいアーモンド。これマヨルカ産。
所々、形の美しいやつがありますが、それがマルコナ種。
この皮なし生アーモンドを180℃のオーブンで5分くらいローストしていきます。
アーモンドは重ならないように並べて、焦がさないように気を付けてください。
そんなもん、言わないとわかんないでしょうが。
ローストしたアーモンドを、フードプロセッサーなんかで細かくしていきます。
パワーのないものだと、機械が壊れちゃったり細かくならないことがあるので、まずは少量のアーモンドで試してみてください。
はい。まずはちょっと粗目になるまでアーモンドを粉砕します。
トゥロンの中に、歯ごたえのアクセントを入れたい場合は、ここで30~50g取り出しておいてください。
香ばしさが欲しい場合は、これを少しだけローストしなおしてもいいですね。
まぁ、さらに言えば、最初から50g取り出しておいて、その分を粗目に粉砕したほうがきれいに仕上がりますよね。
引き続き、アーモンドを細かくしていきます。
じわーっと油が染み出してきてペースト状になるまでやると最高なんですが、無理な場合はごく細かい感じまででOK。
アーモンドプードルくらいになるといいかと。でもやっぱペーストがいいな。
アーモンドの粉砕が終わったら、卵白を泡立てていきます。
泡立てないレシピもありますけど、何か泡立ててください。気持ち的に。
フライパンに蜂蜜を入れて弱火にかけます。
蜂蜜が溶けてプツプツしてきたら、粉砂糖を3回くらいに分けていれます。
粉砂糖ないし!って場合は、グラニュー糖をフードプロセッサーかなんかで細かくしてください。
グラニュー糖でもいけますが、なかなか溶けずに粒粒感が残ってしまいますよ。ま、それはそれで美味しいんですけどね。
砂糖が溶けたら火からおろし、一呼吸おいてから泡立てた卵白を一気に投入します。
ここでぼーっとしていたら卵白が固まってしまうので、大急ぎでダマにならないようにかき混ぜます。
飴になる、卵白固まるのギリギリ瀬戸際感を味わってください。
ま、写真撮ってる余裕があるので大丈夫です。
続いてアーモンドも投入。細かいのと粒粒両方入れて練り合わせます。
レモンとシナモンを入れる場合もココで。
結構力がいる作業になりますんで、箸より重いものを持ったことがない人は、足でやってください。
ここまでやると、大体粗熱が取れている状態だと思われます。
ので、そのまま型にはめていきます。
型は長四角い感じのものだったらいいかと。そこに、十字になるようにキッチンペーパーを敷いておきます。
トゥロンの素を入れて、スプーンやへらで平らにしていきます。
はい。こんな具合に適当に。
でも大丈夫~。
キッチンペーパーを折り返して、その上を手でナデナデすると、平らになるし。
あとは、重石をして1日~2日このまま放置しておいてください。
ちなみに、今日の重石はスパゲッティになっておりますが、マカロニでも問題ありません。
はい。トゥロンの柔らかい方、完成!
包みから取り出しまして、食べる分だけ毎回カットしてお召し上がりくださいまし。
このレシピで作ると、甘からず、重たからず、うまからず。
いやいやいや。嘘です。美味しいです。素朴でアーモンド感あふれるスペインのクリスマスお菓子をご家庭で。
スペインでのトゥロンの食べ方
トゥロンは、食事が終わってデザート食べ終わって、からのトゥロン。
食後のコーヒーの前やら、コーヒーと一緒に。食後にリキュールと一緒につまむような感じですかね。
マヨルカって言っても、我がアルサモラ家だけかもですが、デザートにはカヴァ、シャンパンでして。
シャンパンと一緒か、シャンパンが終わってからのマヨルカ産ハーブ酒と一緒にって感じですかね。クソ甘。
さらに、奴らはエスプレッソに砂糖をてんこ盛りしますんで、まぁ甘い。
そのくせ、コーヒー飲んだ後は何も口にしない。コーヒーの香りが飛ぶからだとか。知らんがな。
逆に、砂糖水で口ん中気持ち悪いわ。
はい。すっきりしました。ということで、トゥロンはコーヒーの前です。
もしくは、トゥロン、コーヒーと交互に繰り返し、フィニッシュはコーヒーです。
トゥロンの賞味期限は?
これ、トゥロンによっても違いますね。
ハードタイプの方が、賞味期限長めです。
スーパーなんかで売ってるものは、結構日持ちがするんですよね。
あ、スペインって日本と違って賞味期限長めな傾向があるっちゃーありますけども。
トゥロンも賞味期限長めなんで、お土産にするには持ってこいですな。
手作りの場合は、1週間以内には食べきりたいところです。
気になる場合や冬場以外で作るときは、冷蔵庫で保存しておいてもいいかもですね。
触感がアレですけど。
っということで、今回はスペインのクリスマスに食べられるお菓子、トゥロンのご紹介でございました。
良質な素材でチャレンジしてみてくださいな。