はい。今回はまた本編を逸脱しまして、何でスペイン人の名前がそんなに長いんだよ。寿限無じゅげむごこうのすりきれ・・・かよ!
という、ナゾに迫ってみたいと思います。
Pablo Diego José Francisco de Paula Juan Nepomuceno María de los Remedios Crispin Crispiano de la Santísima Trinidad Ruiz y Picasso
これ、何だと思います?何かの住所的な?
では、カタカナで表記。
パブロ、ディエーゴ、ホセ、フランシスコ・デ・パウラ、ホアン・ネポムセーノ、マリーア・デ・ロス・レメディオス、クリスピーン、クリスピアーノ、デ・ラ・サンティシマ・トリニダード、ルイス・イ・ピカソ
へぇ。そうです。みなさんおなじみパブロ・ピカソの名前なんですね~。長い。マジで寿限無やん。
というわけで、スペイン人の名前がどういう経緯でつけられているのか、ちょいと見てみません?
今回のお題目
スペイン人の名前はムダに長いわけじゃないよ
基本、スペイン人の名前の構成は、名前+父親の苗字+母親の苗字になります。
では、家のご子息で検証。
「アレキサンドロ(ウソ)・アルサモラ・田中」になるわけでございます。
ちょっと、かっこよかったから。
で、この父苗字+母苗字の習慣ですが、19世紀末あたりから定着したようでして、そんな古くもないんですねぇ。
ちなみに、女性は結婚しても苗字は変わりませんよ。
あ、そうね。田中も結婚してもアルサモラ姓は名乗っていません。だって、田中なんだもん。
スペイン人の名前ってどうやって付けるの?
あれね、日本では漢字の画数やらなんやら、一生懸命考えてつけてらっしゃる方も多いですよね?
スペインでは、基本こんな感じです。
- 祖父母(両親)と同じ名前を付ける
- キリスト聖人の名前からいただく
まぁ、古い名前であれば、キリスト聖人の名前からつけてる場合が多いというか、まさにそれです。
なので、キリスト聖人からいただいた名前を、家族で代々受け継いでいく感じですねぇ。
あざーす!マヨルカでは、おじい・おばあの名前を貰うのが伝統的です。
マヨルカ人の名前の基本の付け方
第一子男の子が生まれる(長男)・・・・父方のおじいの名前
第二子また男の子(次男)大変やね・・・母方のおじいの名前
第三子女の子が生まれる(長女)・・・父方のおばあの名前
第四子女の子が生まれる(次女)・・・母方のおばあの名前
第五子男の子が生まれる(三男)大パニックやな・・・父親の名前
はぁ、家の天然旦那のおじいねぇ・・・
そんなにうまく生まれるわけないじゃん!名前長くなる理由
ですよね。で、家は一人っ子にするし!少子化だし!という場合、両家で名前の付け方で争いが勃発します。
「家のおじいの名前つけてんか!」「あかん、あんたんとこのおじいに似たらどないすんねん!家のおじいの名前や!!」
ということで誕生するのが、「名前+名前+苗字+苗字」という、ちょっと長い名前です。
例えば、
セバスティア・ウィルフレド・アルサモラ・田中、略してSWAT!!
ちょっと馴染みがあるミケランジェルと言う名前、これも2つの名前がくっついているんですね。
ミケル・アンジェルという具合でさぁね。
ちょっと待て!家族に同じ名前って呼ぶときどうするの?
これね。おーい、トメウ!!
と呼んだ時にですよ、おじいと息子、もしくは父と息子が両方振り向くわけです。
会話中も、どっちの話をしてるんだか、さっぱりわからないですよね?
マヨルカでは、大きい方をGran(グラン)、小さい方をPetit(プティッ)と呼び分けています。
じじいトメウ・グラン、孫トメウプティッですね。かわいいですよね。
もしもトメウが、3人いたら?!!!!
おじいはPadrí(パドリ)なので、もうパドリって呼んでるみたいですけどもね。
スペインには365日聖人がいらっしゃる
スペインは敬虔なキリスト教国家だったんですね。
365日、一日一日に守護聖人がいらっしゃるんです。
有名なのが、2月14日の聖バレンタインですね。こんな感じで365日聖人がいるんです。
聖人から名前をいただくので、自分の名前の聖人の日もお祝いをするんです。スペインでは誕生日と自分の名前の聖人の日、2回お祝いがあるんですねぇ。
この、パーティー好き人種めが!!
ぐさっ。そして「知らなくても生きていけるマヨルカ語講座」でも同じこと書いとる・・・
ちなーみに、職業やら国やらにも守護聖人がいらっしゃるそうで、日本の守護聖人は、かの有名なザビエルさんでございます。
スペインでもキラキラネームが・・・・
日本でもありますよね。キラキラネーム。おじい、おばあになっても、可愛らしくていいですなぁ。
で、スペインでも現在では伝統的な名前の付け方をせずに、キラキラネーム的なものが流行っているらしいです。
息子のクラスを見てみると、まだ伝統的な名前が多いんですけども、やはりチラホラっとね。
あ、そうでしたね。家のシルベストレ・ウィリアム・アウレリアノ・トリニダードの事ですね?
ピカソの寿限無のナゾは?
毎度おなじみの巨匠ピカソ大先生は、スペイン南部アンダルシアのマラガ生まれ。
あの長い名前は、聖人や縁者の名前をだだだーっと並べたものらしいです。
名前最後にRuiz y Picassoってありますが、ルイスが父の苗字、ピカソが母の苗字です。
パブロ・ルイス・ピカソと名乗っていたそうですが、途中からパブロ・ピカソと名乗るようになったんですね。長い名前は飽き飽きしたんですかね?
ルイスはピカソが生まれたマラガでは、一般的な名前だったらしいので、パブロを選択したらしいとの情報がありますけどね。会った事ないので、わかりません。
ピカソの娘でファッションデザイナーのパロマ・ピカソのパロマは、ピカソが大好きだった「鳩」から取ったそうです。
おじい、ハウス!!