スペインのクリスマスの代表的なお菓子と言えば、トゥロン、マサパン、ロスコン・デ・レイエス、マンテカド、アルファホレスなどなどでございますね。
あー。はい。ポルボロン。
クリスマスシーズンになりますと、スペインのありとあらゆるゾーンで山積みになっておるお菓子なんでございます。
お値段もお手頃で、ちょっとテンション上がるわけですが、こちらスペインでもスーパーなんかで売っているポルボロンたちは、イマイチアーモンドの風味とくちどけに魅力を感じないわけなんです。
ポルボロンの最大の魅力は、やはりアーモンドの香りと甘さ、そして噛むまでもなく口の中で崩れる食感なのでございます。
まぁね。用心しないとむせますよ。じじい。
市販のものですと間違いなく口の中の水分持ってかれますけども、今回はポルボロンの本格レシピと言うことで、しっとりと崩れるくちどけで、1個食べたら十分!というレシピに仕上げております。
落雁って、小脇に抱えて食べられるお菓子ちゃいますよね?そんな感じのニュアンスです。
エスプレッソやストレートティのお供にって感じですかね。ワインやカヴァでもいけるなぁ。
はい。と言うことでございまして、今回は何か知らんけど”本格”って付けてしまったポルボロンのレシピと、その他特に知らなくてもいいことで構成されております。
これを食べずして、スペインのクリスマスが越せるかい!
今回のお題目
スペインの本格ポルボロンのレシピ
あー。何度も本格って書いてますけどもね、作り方は至って簡単なんですよ。
慎重になりたいのは、材料のみ!やはり、アーモンドがカギを握っておるわけです。
シンプルな材料で、シンプルな作り方をしますんで、材料だけにはこだわってみるとナイス・ポルボロンと出会えること間違いなしでございます。
では、材料から。
作りやすい分量 ポルボロン30~40個分くらい
薄力粉:375g
ラード:185g
粉砂糖:150g
皮なし生アーモンド:90g(最高品質マヨルカアーモンド使用)
塩:ひとつまみ
シナモン:小さじ1/3
【ココアテイストにする場合】
小麦粉を360gにしてココアを15gプラスする
【ラードをオリーブオイルにしたいなら】
ラードの代わりにエキストラバージンオリーブオイルを125~130gにする
砂糖の分量も125gに減らしてください
えー。スペインではですね、製菓用の小麦粉が売られておるので、それを使うとよりアレなんですけども、もう薄力粉で十分です。
ラードですけども、バターやマーガリンでは絶対代用できません。バターの風味がアーモンドの香りをかき消しやがるんですね。
まぁ、バターを使ったお菓子って美味しいんですけども、ポルボロンとは全く別物になってしまいますんで要注意。
逆にフィナンシェにラード使ったら台無しなのと一緒でございます。
ラードねぇし!と言う場合は、エキストラバージンオリーブオイルでも大丈夫っちゃー大丈夫です。ヘルシーです。
幾分、オリーブの香りが鼻から抜けていきますんで、クセは出ますね。でも、フレッシュアーモンドの青臭い感じが好きな方にはいいかと。その時点で、ポルボロンとは呼べないかもですけども。
ココア味なんですけども、嫌いじゃないけどアーモンドの香りがぼやけます。やっぱりシンプルなのが一番うまいと思われます。
チョコレート味に何でも食いつくのやめてもらっていいですか?
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ポルボロンの下準備~ローストフラワーを作る
ポルボロンを作る上で大切な作業、それは。
小麦粉とアーモンドをローストすることでございます。
ローストフラワーは、小麦粉をオーブンで焼いたり、フライパンで乾煎りしたものなんですけどもね。スペインではHarina Tostada(アリナ・トスタダ)って呼ばれてまして、色んな料理に使われておるわけです。
軽く焙煎したものから、深煎りまで色んな用途で使われとるわけなんですけど、ポルボロンの場合は軽く色がつく程度。
Clara(軽くロースト)とRubia(ミディアムロースト)の間くらいですかね。
このローストフラワー、チリとかでは飲み物として利用したりしてるんですね。
Ulpo(ウルポ)って呼ばれてるこの飲み物、ローストフラワーを牛乳やワインで割って、蜂蜜や砂糖で味付けしたもので、スペインではカナリア諸島なんかで飲まれとるんですかね?
まぁ、いいんですけどね。
ローストフラワーの作り方
はい。このアリナ・トスタダ。ローストフラワーは、市販もされておるんですが、家でも簡単に作れますんで、そっちで。
市販のものと家で作ったものとでは成分が違うわけですが、とにかく簡単なんで家で作る方向で。
はーい。では、オーブンとフライパンで炒る方法があるんですけど、オーブンの方向で。
- オーブンを170℃前後で予熱しておきます。
- 天板に小麦粉をザザーっと出して、オーブンで10~15分焼いていきます。
- 2~3分ごとにスパチュラや木べら、しゃもじ的なものでかき混ぜます。
- 加熱後、小麦粉から湯気とか煙だとかが上がっている場合は、オーブンが切れててもとりあえずかき混ぜます。
- 小麦粉が冷めるまでオーブンの中で放置します。
以上。
冷えたら、ガラス瓶とかに入れて保存しておけます。
ローストフラワーの特徴~なんで小麦粉を焼くわけ?
えー。ローストフラワーのメリットですけどもね。
- 小麦粉特有の雑味が消える
- 糊化していないんでベタつかない・ダマになりにくい
- 焼き菓子がサクサク、くちどけが良くなる
- 繊維含有量が高くなるんで、その他色々な健康的効果も
ってな感じです。コレステロール値を下げて、お通じ的なものも良くなるとか。
気持ち悪いので、やめてもらっていいですか?一応レシピのページですからね!
ポルボロンで小麦粉をローストするのは、アーモンドの香りを活かすためと、くちどけを良くするためって感じでしょうかね。
本格ポルボロンの作り方
はーい。では、本格手作りポルボロンを作ってまいりましょう。
言うても、簡単です。
アレ言うな。
はい。先ほどもお伝えしたように、アーモンドと小麦粉をローストします。
小麦粉はオーブンで放置しないとなので、まずはアーモンドから。180℃で8~10分程度ローストです。
次は小麦粉。180℃くらいで15分以上焼いていきます。軽く色づく程度まで焼いてください。
その後、ふるっておけば完璧です。
ローストしたアーモンドを粉砕します。
これね、アーモンドプードルでいいんじゃね?って思うかもですけど、これ大事。
アーモンドプードルじゃぁ、香り飛んじゃってますからねぇ。美味しさ半減って感じです。
あとは材料を全部混ぜるだけ。全体的にざっくり混ざったらOKです。
生地を30分以上寝かせてください。このままだと、ベタベタして扱いづらいんで。
生地を1~1.5㎝に伸ばして、3.5~4㎝程度の型で抜いていきます。
打ち粉はいらないと思います。
190℃~200℃のオーブンで12~15分焼きます。焦げたら台無しなので、10分あたりからオーブンをよく観察しておいてください。
これ、非常に崩れやすいんで、ヘラかなんかを使って取り出しますけども、熱いうちは放置しておいた方が賢明です。
完全に冷えたら、油紙で包んで完成!
だって、包んだら確実に崩れるでしょ?もう、直でいいじゃないかと。
ポルボロンとは一体何者か?ポルボローネとの違いは?
あー、ポルボロンのことをポルボローネって呼んでますけども、これはスペイン語の読み間違いから来てるっぽいですよ。
ポルボロンの複数系ってPolvorones(ポルボロネス)って言うんですけども、それをポルボローネと読んじゃったっぽい?
もしくは、商標かなんかですか?
スペインではPolvoronesって表記されている場合が多いんですけど、何でかって沢山入って売ってるし、作るときも1個のみじゃ作らないですからね。
一個一個包んでいる油紙とかには、ちゃんとPolvoronって書いてますよ。なぜなら一個だから。
単数と複数で名詞が違わない日本語で、良くあるミスってやつだと思いますけども。
できればポルボローネスにして欲しかったですね。惜しい!
そんでもって、ポルボロンの語源ですけどね、ポルヴォ(polvo)から来ております。
Polvoっちゃーなんね?と言いますと、細かい粉状のものや、塵、ホコリって意味があります。
どこぞのサイトを見てみると、スペイン人ホコリ食ってんのかよwwwってありましたけどもね、ちゃんと調べてから書きやがれ!って話でして。
まぁ、Google翻訳すると、ホコリって出て来るんで、鵜呑みにしちゃってるんですね。はい。残念。
個人的な正義です。主観です。
ポルボロンの歴史~マンテカドとの違い
出典:ポルボロンを最初に大規模製造したLa Colchonaのポルボロン
えー。ポルボロンの発祥の地は、セビリアのエステパ、サンタクララ修道院と言われております。
16世紀には、レシピが文書化されておりまして、商品化されたのは1870年。それまではスペイン全土に流通することがなかったお菓子だったんですね。
ポルボロンと混同されやすいのが、マンテカドという見た目も似ているお菓子なんですけども、最初にできたのがマンテカド。
マンテカドとポルボロンの大きな違いは、分量の比率なんですけども、簡単に言いますと、マンテカドにアーモンドを大量に加えてできたのがポルボロンなんですね。
形もマンテカドは丸形で、ポルボロンは楕円形って話もありますけど、今は丸形のポルボロンも流通しております。
出典:同じくLa Colchonaのマンテカド
マンテカドは、色んなフレーバーがあるってのも特徴かと。チョコレートやココナッツ、シナモン、レモンってな感じですかね?古典的なマンテカドには、表面にゴマがあしらわれております。
味は、アーモンドが入ってるのと入ってないのなので、似て非なるものです。
ポルボロンの正式な?食べ方
これ、結構論争になるんですけども、伝統?では油紙に包まれた状態のポルボロンを片手でむぎゅ~っと握りまして、自らの手によって崩れにくくして食べるってものです。
元々ポルボロンの形は楕円って言いましたよね?たしか、言った。
それ、手のひらでぎゅーっと握りやすい形状なのではないのか?と思っておりますけども。
で、そうしないと食べてるはしから、ボロボロと崩れ落ちてみっともない状態に・・・口の端っこから滝のように流れるんですわ。
油紙の中も粉々。これ、舐めろってのか?それとも粉薬状態で口に流し込めってのか?
ってなことで、お掃除大好き!な人は、食べた後せっせと後片付けお願い致します。
ポルボロンを食べると幸せになるって噂は本当か?
これ、本当であり、嘘かもしれません。
まずは、本当から。ポルボロンを食べると、美味しいんでなんか幸せな気分になる。これ正解。
で、嘘かもしれないこと。
ポルボロンを口に入れて溶ける前に「ポルボロン」と3回唱えられたら幸せになれるという、スペインの伝統がある。
ポルボロンはクリスマスだけでなく、お正月や結婚式などでも食べられる幸せを運ぶスイーツである。
これ、誰が言ったんですか?
スペインではそんな伝統とか一言も言われてませんけども。一ミリも、一ミクロンも、一ナノも聞いたことないです。
少なくとも、スペインでは全くメジャーではないですね。
血眼になってネットでも探してみたんですけど、ソースゼロ。アンダルシア地方の伝説なんですか?
まず、考えたいのがポルボロンが生まれたのは、修道院。修道院でそんなJCやJKみたいなおまじない、信じてやりますかね?
日本人は言霊好きですけど、ポルボロンと唱えるってのは何言霊なんですかね?
たまにはうまいこと言いますね、じじい。
さらに言えば、口の中にポルボロン入れて何か喋るって、テレビに苦情の電話殺到ですよ?放送事故ですよ?粉噴射しますよ?
で、スペインのクリスマスって正月またぎなんですわ。1月の5日くらいまでがクリスマス。なんで、スペインのクリスマスの認識が甘い。
たしかに、正月はクリスマスに含まれてるんで、正しいっちゃー正しいですけども?
盛ってんじゃねぇよ。って感じですかね?
それな、遠足のおやつ的なな。
結婚式で食べられてるってのも聞いたことないですね。これ、もしかすると南米のスペイン語圏のものかもしれないです。
日本人は忍者である。国民全員空手ができるみたいなもんですかね?
え?あ。田中、刺客としてマヨルカに潜入している忍者です。
ま、夢を壊しちゃいかんっちゅーことですかね?壊しておきながら。
いやね、これ本当にそんな言い伝えあったらごめんなさいよ。田中は無知なんで、知らないだけってことも大いに考えられるんですけどもね。
田中からのお願い。これ、ソース見つけたら、連絡ください!!ポルボロン伝説があるスペイン各地域の皆様からのご連絡をお待ちしております。
田中、全力で修正して嘘かも?って言ったことを謝罪致します。
そして、絶対に幸せになれないポルボロンの事実。それはカロリー。
お豚様の真の底力を思い知らされる、そんなポルボロン。あなたも冬に備えて蓄えてみてはいかがでしょうか?
暖かいクリスマスが過ごせること間違いなしですよ。