毎度、流浪のウェブサイト「マヨルカくる?」でございます。
トラムンタナ山脈に行きたいんだけど!トラムンタナ山脈の文化的景観が見たいんだけど!
という、お問い合わせもボチボチあるんでございますね。
で、田中は毎回、はぁ・・・となるわけでございますよ。
なんでって?
だって、トラムンタナ山脈の文化的景観って、めっちゃ広い地域なんだもん。
どっからどう説明したらいいのやら?なので、とりあえずまぁ、チェキラ!
今回のお題目
トラムンタナ山脈の文化的景観って一体何なのさ?
はい、こっからスタートする恐怖を拭い去れない田中でございますが、まぁざーっとお付き合いくださいませ。
世界遺産には3種類ございまして、法隆寺地域の仏教建造物は「文化遺産」、屋久島は「自然遺産」、日本にはないんですけども、ギリシャのメテオラなんかは「複合遺産」なんですね。
で、トラムンタナ山脈はと言うと・・・山だから自然遺産なんじゃね?
って思うでしょ?でも文化的景観っていうのがアレね。鍵ね。
世界遺産の種類をざーっと
- 文化遺産:普遍的な価値のある記念物・遺跡・建造物群・文化的背景
- 自然遺産:普遍的価値のある地形・地質・生態系・動植物などの生息地
- 複合遺産:文化的遺産と自然遺産の両方を備えているもの
ってなことで、トラムンタナ山脈の文化的景観っつーのは、文化遺産なんでございます。
トラムンタナ山脈は何で世界遺産に選ばれたの?
えー。こちらマヨルカ。トラムンタナ山脈らへんが世界遺産に登録されたのが2011年。
何で?と言うと、こういう理由。
(ⅱ)ある期間、あるいは世界のある文化圏において、建築物、技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展における人類の価値の重要な交流を示していること。
(ⅳ)人類の歴史の重要な段階を物語る建築様式、あるいは建築的または技術的な集合体または景観に関する優れた見本であること。
(ⅴ)ある文化(または複数の文化)を特徴づけるような人類の伝統的集落や土地・海洋利用、あるいは人類と環境の相互作用を示す優れた例であること。特に抗しきれない歴史の流れによってその存続が危うくなっている場合。
引用:公益社団法人「日本ユネスコ協会連盟」
ほほう。なるほど、なるほど。
ってことはですよ、山脈そのものでなくて、山脈に息づいた文化、いわゆるトラムンタナ山脈地域にあるマヨルカの村々が遺産ってこと?
ですよね。なら話は早い。
そこらへんにある、村々を訪れてくださいまし!
レマン湖のほとりでって言ってる場合か!
トラムンタナ山脈の文化的景観の歴史的背景
ざっくり言うと、「トラムンタナ山脈の文化的景観」とは、マヨルカの北部に位置する結構荒々しい山肌を持つトラムンタナ山脈を切り開いて作られた段々畑やら、石垣なんかの風景って感じです。
マヨルカは比較的雨の少ない島なんですけども、トラムンタナ山脈がある北側は雨が多く、緑の多い地域でございます。
現在では、オリーブやオレンジ、ブドウなんかの地中海を代表する作物が栽培される農業地帯にもなっておるんですね。
トラムンタナ山脈の最高峰はプッチ・マジョルで標高1,445mと、そんな高くもないんですけど、とにかく切り立った岩肌が特徴的な山脈なんです。
今でも道幅が狭いくねくねした道が多くて、バイクや自転車のツーリング客も多いわ、結構危なっかしい交通事情。
そんなトラムンタナ山脈の歴史はと言いますと、紀元前2700年あたりからは人間が住んでいた痕跡が見られます。
マヨルカの他の地域と同様に、ローマ帝国、ビザンチン帝国、イスラム教徒の支配を経て、1229年にジャウマ1世によるキリスト教統治が始まります。
トラムンタナ山脈に人類が定住し始めたころは、現在のような農業地ではありませんでした。
急斜面ばかりの山岳地帯、雨も多く農業には全く適さない地だったわけです。
もちろん居住も困難。農業に適した土地はなく、水の管理も難しい、かなり条件の厳しい地域だったんですね。
そんな地域に、何世紀もかけて希少な資源を活用しながら作られた段丘と石畳の道路網システム。
集水、貯水を備えた上水道システムを作り、居住困難な地域が農業や生活に適した地域へと作り上げられていった。
このマヨルカの昔のおじい、おばあたちの生き残りをかけた戦いが、世界遺産となったわけですね。
足りるか。
と言うことで、トラムンタナ山脈の文化的景観の特徴としては、ムーア人によって作られた配水システム、山岳を利用した段々畑、洗練された排水によって得られる農産技術、山岳によって孤立していた歴史を持つ、石造りの建物や交通システムなんかですな。
マヨルカ観光の歴史は、1905年に始まります。
Formento del Turismo de Mallorcaっていう組織が、公益事業の機関として誕生するわけです。
その後スペイン内戦や第二次世界大戦を経て、マヨルカに観光ブームが訪れるのが1950年代から。
この観光の加熱によって、開発がガンガン進められております。
古くからマヨルカに伝わる伝統農法なんですけども、これによって存続が危うくなっているという事実もございまして。
マヨルカの文化を相いれない、コミュニティを作ってその中で暮らしを立てている、外国人が多く住んでいる地域にもなっておるんですな。
別荘買いあさって行くのもよろしゅうございますが、「郷に入っては郷に従え」は、忘れたくないものです。
酔っぱらって暴れるだけの安観光客は、自国のパブやクナイペでやってください。
トラムンタナ山脈の文化的景観を観光で味わうには?
では、このマヨルカの世界遺産、どうやったら観光できちゃうのか?ってことですよね?
何にポイントを置くかによって、コースは違ってきますけども、1日や2日で回れるような感じでは・・・ね。
どのあたりが世界遺産なのかっていうと、トラムンタナ山脈に位置する自治体ってことになりましたよね?
トラムンタナ山脈の自治体
はーい。では、トラムンタナ山脈にある自治体を見てみましょうかね?
日本語表記と読み方が全く違ってる地区は、マヨルカ発音もおまけ。
全部ずっぽりトラムンタナに入ってる自治体
アンドラッチ(Andratx):白壁の家々が点在し、南側に高級リゾート地がある自治体。
エステリェンクス(Estellencs)アスタヤインス:中心地の教会周辺は迷路っぽい。人口400人くらいの小さな村。
プッチプニェント(Puigpunyent):「尖った山」という意味。ガラッツォの丘が美しい緑の多い地域。
ソイェール(Sóller)ソィヨ:パルマから山岳鉄道が通っている自治体。
ブニョラ(Bunyola)ブニャラ:山岳鉄道の駅がある森に囲まれた地域。
エスポルレス(Esporles)アスポルレス:狭い通りに伝統的な家が並び、ネオゴシックの教会もある。
バルデモサ(Valldemossa)バイデモサ:ショパンとサンドが越冬したのでも有名。
フォルナッチ(Fornalutx)フォルナルッチ:プッチ・マジョルの麓の村。塗装された屋根が美しい。
ディア(Deià)デヤ:小高い丘に住宅が集中した中心部の建物群も美しい。
バニャルブファール(Banyalbufar)バニャルブファ:海を見下ろすように段丘に家や畑が立ち並ぶ。
アスコルカ(Escorca)アスコルキャ:トラムンタナ山脈最高峰プッチ・マジョルがある人口の少ない村。
マンコル・デ・ラ・ヴァイ(Mancor de la Vall)マンカ・ダ・ラ・ヴァイー:松とオークの森に囲まれた村。
北側部分がトラムンタナな自治体
パルマ(Palma):マヨルカの主都。
カルビア(Calvià)キャルヴィヤ:パルマの次に人口が多い自治体。外国人が多い。
サンタ・マリア・デル・カミ(Sta.Maria del cami):青い屋根瓦の鐘楼を持つ教会と、小さなワイナリーがある。
アラロ(Alaro):断崖の上にそびえるアラロ城がある。
ロゼッタ(Lloseta)ヨザッタ:イタリア風の宮殿、ロマネスク様式の彫刻が施された教会がある。
セルバ(Selva)サウヴァ:聖地ユックに続く小道が多く、ハイカーやサイクリング客でも賑わう。
カンパネ(Campanet)キャンパナット:鍾乳洞や雨の後に湧き出す泉がある。
ポリェンサ(Pollença)ポイェンサ:好きだ。
はい。ってなことで「トラムンタナ山脈の文化的景観」を満喫するには、この村々を廻ればいいんですな。
パルマ入っちゃってるし、もう空港降りた時点で満喫でよくね?
トラムンタナ山脈を味わうオススメ観光ルート
ってことで、自治体多すぎ。
あなたが、一体何をトラムンタナ山脈の文化的景観に求めているか?によって、観光ルートが変わってくるわけです。
では、オススメ?コースをば。
トラムンタナ山脈観光ルート
- 登山コース・・・上級者向けコース。そこに山があるから登る人向け。
- トレッキングコース・・・頑張ったらできる。石畳をとことん歩きたい人向け。
- 山岳列車コース・・・クラシックな木造列車に揺られ、のんびりすし詰め。
- バスでいっか滞在型コース・・・パルマからバスで村々行き倒せ!
1.トラムンタナ超登山コース
頑張ってください。
人気のコースはPuig de l'Offre、Puig de Massanellaとかですかね?
コースのスタートまでは、公共の交通機関で行かれますよ。大丈夫です。
2.トラムンタナトレッキングコース
トラムンタナ山脈には、ドライストーンルートってのがありましてね。
Pedra en sec、直訳すると「乾燥した石」なんですが、コンクリートやら接着する物質を一切使わずに、石垣やなんかが作られておるんです。
そんな石垣や断崖絶壁なんかを見ながら、石畳を歩くこともできます。
このドライストーンルート(GR221)は、全長164㎞程ハイカーが歩けるルートがあるんですね。
初心者ハイカーから上級者向けまで8ステージがご用意されております。
全制覇するには、最短で6日程度あれば大丈夫かと。
宿泊機能付きシェルターもあるんで、大丈夫かと。
石畳、石垣、段々畑をぎゅーっと味わうのは、エステリェンクス(Estellencs)からエスポルレス(Esporles)のコースでしょうか。
14,404mの距離で、高低差もさほどないので、5時間くらいあれば歩けますな。大丈夫です。
ない。そして、今後もない。
山!を味わうなら、ソイェールのシェルター(Refugio de Muleta)からアスコルカのシェルター(Refugio de Tossals verds)までのコース。
渓谷をガッツリ27,761m。30mの急勾配をガッツリと。所要時間は上級者で8時間くらいですかね。
大丈夫です。シェルター泊まりで頑張ってください。
え?本当にシェルター泊まっちゃいます?Booking.comで検索!
3.トラムンタナ山岳鉄道コース
パルマから山岳鉄道でソイェールに向かうコース。
クラシックな木造列車に揺られ、トラムンタナ山脈の内側を味わえるコースでもあります。
トンネルやら橋、高架橋、くねくねを通りながら、美しい山脈を拝むことができます。
海側を通らないので、海沿いの村の段々畑なんかは見られませんね。
路面電車を使うと、ソイェール港まで出られます。
マヨルカ来たなら、王道の観光コースです。山岳列車だけを楽しむなら、1日で十分満喫できますよ。
パルマ起点の観光なら、ホテルもパルマでOK。
行っちゃう?ソイェール
4.トラムンタナ村滞在コース
TIBバスが運行しているので、パルマからバスでも行ける村も多いです。
トラムンタナ山脈の小さな村々を、1日ゆっくり滞在しながら回るのもいいですな。
タクシーは少なめというか、いるかいないか状態なので、要予約。
バルデモサは、パルマ拠点でも十分イケますが、村を堪能するにはバルデモサにホテルを取るのがオススメ。
美しい村なので、パルマでは味わえない街並みをゆっくり散歩がいいかと。
文学好きなら文学コースもオススメ。
ジョルジュ・サンド、ラモン・リュイが滞在したバイデモサ。
ロバート・グレイブスが住んでいたデイア。オーストリア・トスカーナ大公のルートヴィヒ・サルヴァトールなんかも。
アガサ・クリスティーが滞在したポリェンサでは、国際文学賞なんかも開催されております。
ってな感じですかね?
今回は、マヨルカ世界遺産、同時多発エロでお送りいたしました。
観光ガイドいります?時々ご用命にお応えしております。時々。